金融庁の暗号資産規制とは?2027年の要点をわかりやすく解説

法規制

この記事のポイント

金融庁は暗号資産の規制を資金決済法から金商法へ移管する改正法案を2026年4月に国会提出。2027年度施行の見通しで、無登録業者への罰則強化やインサイダー取引規制が新設され、税制も分離課税20%へ2028年から移行する見通し。

金融庁の暗号資産規制とは?2027年の要点をわかりやすく解説

「金融庁が暗号資産の規制を強化していると聞いたけれど、自分の取引や資産にどう影響するのか分からない」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 金融庁が進める暗号資産規制の全体像
  • 資金決済法から金商法への移管と罰則強化の内容
  • 分離課税など税制改正のポイントと登録業者の確認方法

金融庁は暗号資産を巡る規制を、決済手段中心の枠組みから投資商品としての規律へと転換しつつあります。2026年に閣議決定された改正法案により、金商法への移管、罰則強化、税制改正が一体で進んでいます。

本記事を読むことで、金融庁の暗号資産規制がいつから何を変えるのかを体系的に理解でき、自分の取引に必要な備えを判断できるようになります。制度の全体像から具体的な確認方法まで、順を追って見ていきましょう。

金融庁が定める暗号資産規制の全体像

金融庁は2017年から暗号資産交換業の登録制度を運用し、利用者保護と市場の健全性確保に取り組んでいます。2026年には国内における仮想通貨の規制を資金決済法から金融商品取引法へ移管する改正法案が閣議決定され、自主規制協会の活動も含めて、暗号資産を巡る規制は大きな転換点を迎えています。

暗号資産交換業の現行登録制度

現行制度では、暗号資産と法定通貨の交換サービスを国内で行う事業者は、暗号資産交換業者(暗号資産交換業者とは何か)に関する規定にもとづき、金融庁への登録が必要です。反復・継続的に交換や管理業務を行う事業者が登録対象となり、暗号資産の売買を行わずカストディ業務のみを行う事業者も対象に含まれます。

登録業者には利用者資産の分別管理、情報の安全管理、顧客資産のオフライン管理などが義務付けられており、無登録業者との取引はリスクが高いとして注意喚起がなされています。

資金決済法における暗号資産の位置づけ

資金決済法上、暗号資産は決済手段の一種として位置づけられており、法定通貨そのものではないというのが金融庁の基本認識です。その取扱銘柄は金融庁の暗号資産ホワイトリストにもとづいて管理されており、2020年の呼称変更で「仮想通貨」から「暗号資産」に改められ、同時にカストディ業者への規制や過剰な広告・勧誘の禁止といった利用者保護策が強化されました。

こうした経緯から、暗号資産はこれまで一貫して決済手段としての性格を軸に規制されてきました。

改正法案が閣議決定された背景

暗号資産の投資対象化が国内外で進んだことを受け、金融審議会の暗号資産制度に関するワーキング・グループが検討を重ね、2026年4月10日に金融商品取引法及び資金決済法の一部を改正する法律案が国会に提出されました。

背景には、暗号資産が交換所での直接購入にとどまらず、仮想通貨のレバレッジ規制への準拠が求められるような投資商品として比較・評価される資産へと性格を変えつつあるという実態があります。

規制強化が目指す投資家保護の考え方

今回の規制強化は、暗号資産を証券に準じた投資商品として扱い、情報開示やインサイダー取引規制といった投資家保護の枠組みを整備する狙いがあります。

金融庁には暗号資産に関する相談が月間300件を超えて寄せられており、その多くが詐欺的な投資勧誘やトラブルに関するものです。規制の目的は、こうした被害を未然に防ぎつつ、暗号資産市場の透明性を高めることにあります。

暗号資産規制を資金決済法から金商法へ移す内容

2026年4月10日に閣議決定・国会提出された改正法案の最大のポイントは、暗号資産取引の規制を資金決済法から金融商品取引法へ移管することです。証券取引に近い規律を暗号資産にも適用する制度へと転換します。

金商法へ移管される目的

暗号資産が投資対象として実態を強めるなか、これまでの決済手段中心の規律だけでは投資家保護が不十分になっているという問題意識が移管の背景にあります。情報開示・不公正取引の禁止・業者規制を金商法の枠組みで整備し、証券市場に近い透明性を確保することが目的です。

暗号資産の定義と範囲は維持される

移管にあたって、資金決済法上の「暗号資産」の定義や対象範囲そのものは維持される見込みです。規制の根拠法は変わっても、何が暗号資産に該当するかという線引きは大きく変わりません。

経過措置と施行時期の見通し

改正法は国会で成立すれば2027年度にも施行される見通しです。既存の暗号資産交換業者には一定の経過措置が設けられ、新制度への移行準備期間が確保される方向で調整されています。

呼称が暗号資産交換業者から暗号資産取引業者に変わる

登録業者の呼称は「暗号資産交換業者」から「暗号資産取引業者」へと変更され、第一種金融商品取引業に相当する規制が適用されます。名称変更は単なる呼び方の違いにとどまらず、証券会社並みの行為規制を受ける立場になることを意味します。

無登録業者への罰則強化と投資家保護策

金融庁への相談の多くが無登録業者による詐欺的な投資勧誘に関するものであることを踏まえ、改正法案では無登録業者対策が大幅に強化されます。罰則の引き上げから民事効規定の新設まで、複数の角度から投資家保護を図る内容です。

罰則の引き上げ内容

無登録で暗号資産の売買や交換業を行った場合の罰則は、拘禁刑が現行の3年以下から10年以下へ、罰金が300万円以下から1000万円以下へと大幅に引き上げられます。証券会社並みの重い罰則を科すことで、無登録営業への抑止力を高める狙いがあります。

犯則調査と緊急差止命令の対象拡大

改正後は、暗号資産に関する無登録業者の違反行為についても犯則調査の対象とし、被害拡大を防ぐための緊急差止命令を発動できる仕組みが整えられます。行政による早期の介入余地を広げる点が特徴です。

民事効規定の新設内容

無登録業者との契約を法的に無効と扱えるようにする民事効規定の創設が検討されています。これが実現すれば、無登録業者と取引をした投資家が返金請求などの民事上の対応を取りやすくなります。

ステルスマーケティング規制の導入

暗号資産の投資セミナーやオンラインサロンを通じた勧誘が増えている実態を踏まえ、広告であることを隠した勧誘行為、いわゆるステルスマーケティングも規制対象に加えられる見通しです。SNSやインフルエンサーを介した勧誘トラブルへの対応強化につながります。

インサイダー取引規制と発行者の情報開示義務

暗号資産を金融商品として扱う以上、証券市場と同水準の公正性を確保する仕組みが欠かせません。改正法案は、インサイダー取引の禁止と発行者の情報開示という両輪で、市場の透明性を高めます。

インサイダー取引規制の新設内容

上場有価証券と同様に、未公開の重要情報をもとにした暗号資産の売買、いわゆるインサイダー取引が禁止されます。違反行為は証券取引等監視委員会による犯則調査の対象となり、刑事罰の対象にもなります。

課徴金制度の導入内容

インサイダー取引や虚偽の情報開示に対しては、上場有価証券のインサイダー規制と同様の課徴金規定が設けられます。悪質なケースでは、国内すべての交換業者が当該暗号資産の取り扱いを停止する措置も想定されています。

発行者に課される年次情報開示義務

暗号資産の発行者や中央集権的な管理者には、年1回の情報開示が義務付けられます。開示内容には、発行者自身や関係者の保有状況、大量の無償発行に関する情報などが含まれる見込みです。

証券会社並みの業務規制の適用範囲

暗号資産取引業者には第一種金融商品取引業に相当する規制が適用され、説明義務や広告規制など証券会社に準じた業務規制を受ける立場になります。取り扱う暗号資産の性質に応じて、規制の強弱が調整される方向です。

暗号資産の税制改正と分離課税のポイント

金商法への移管と並行して、暗号資産の税制も大きく変わろうとしています。令和8年度税制改正大綱では、暗号資産の所得を株式並みの申告分離課税に移行する方針が示されました。

現行の総合課税が抱える税負担の課題

現行制度では、暗号資産の売却益は雑所得として総合課税の対象となり、他の所得と合算した累進課税により最大で約55%もの税負担が発生します。利益が大きくなるほど税率が上がる仕組みが、投資家の負担感につながっているという指摘があります。

申告分離課税20%へ移行する内容

改正後は、対象となる「特定暗号資産」の現物取引・デリバティブ取引・ETFから生じる所得について、税率を一律20%(所得税15%、住民税5%)とする申告分離課税が適用されます。復興特別所得税を含めると20.315%となり、株式や投資信託と同水準の税率です。

損失を3年間繰り越せる制度

特定暗号資産の取引で損失が生じた場合、翌年以降3年間にわたって将来の暗号資産取引の利益と相殺できる繰越控除制度が新設されます。株式投資と同様に、損失を翌年以降の利益と通算できる点は投資家にとって大きな変更です。

分離課税の適用が始まる時期

分離課税の適用開始は、金融商品取引法等改正法の施行日が属する年の翌年1月1日とされています。現時点では2027年度の法施行を前提に、2028年1月1日以後の譲渡から適用される見通しです。

金融庁登録の暗号資産交換業者を確認する方法

規制が強化されるほど、利用者自身が登録業者かどうかを確認する重要性は高まります。金融庁は登録一覧や無登録業者への警告情報を公式サイトで公開しており、誰でも確認できます。

金融庁サイトで登録一覧を確認する手順

金融庁の公式サイトでは「暗号資産交換業者登録一覧」がPDFおよびExcel形式で公開されており、登録番号や登録年月日、取り扱う暗号資産の種類まで確認できます。取引所を選ぶ前に、まずこの一覧に社名が掲載されているかを確認する習慣が大切です。

無登録業者への注意喚起を確認する方法

金融庁は無登録で暗号資産交換業を営む国内外の事業者に対して警告書を発出しており、その対象事業者名も一覧化して公開しています。海外の所在不明な業者を含め、警告リストに載っている業者との取引は避けるべきです。

登録業者を利用する際に見るべきポイント

登録の有無に加えて、利用者資産の分別管理体制や、コールドウォレットによるオフライン管理の状況も安全性を判断する材料になります。事業者から説明を受けたうえで、契約内容やリスクを十分に理解してから取引を始めることが求められます。

まとめ:金融庁の暗号資産規制は金商法移管と税制改正が両輪

本記事では、金融庁が進める暗号資産規制の全体像から、資金決済法から金商法への移管、罰則強化、インサイダー取引規制と情報開示義務、税制改正による分離課税、そして登録業者の確認方法まで解説しました。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 暗号資産の規制は資金決済法から金商法へ移管され、証券並みの規律が適用される
  • 無登録業者への罰則が引き上げられ、インサイダー取引規制も新設される
  • 税制改正により暗号資産所得は申告分離課税20%へ移行し、損失繰越控除も導入される

こうした制度の変化を早めに把握しておくことで、施行スケジュールに合わせた確定申告の準備や取引先の見直しなど、必要な備えを余裕を持って進められます。金融庁の一次情報を定期的に確認しながら、正確な理解のもとで暗号資産と向き合っていきましょう。

より詳しい情報や個別相談をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。

金融庁 暗号資産に関するよくある質問

参考文献

  1. 暗号資産の利用者のみなさまへ:金融庁
  2. 金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料:金融庁
  3. 金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」:金融庁

執筆者

Crypto With 編集部
Crypto With 編集部

編集部

B2B特化のブロックチェーン・暗号資産メディア「Crypto With」の編集部。金融機関やIT企業の意思決定者向けに、国内外の最新技術トレンドや日本の法規制動向など、導入判断に直結する客観的なデータに基づく信頼性の高い実務情報を発信しています。

監修者

Crypto With リサーチチーム
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リサーチチーム

「Crypto With」のコンテンツ監修・リサーチを専門に行う調査チーム。国内外の金融規制や暗号資産市場の動向を追う専門家で構成され、データと根拠に基づく客観的な分析レポート、日本の複雑な法規制の解説を提供。金融機関・IT企業の意思決定に必要な情報を信頼性重視で発信します。

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