資金決済法における仮想通貨規制とは?暗号資産の定義を解説

法規制

この記事のポイント

資金決済法は仮想通貨を暗号資産と定義し、1号暗号資産・2号暗号資産の区分のもと、交換業者の登録制度や利用者保護のための分別管理・情報提供義務を課している。2026年施行予定の改正では、規制の一部が金融商品取引法へ移管される見通しである。

資金決済法における仮想通貨規制とは?暗号資産の定義を解説

「資金決済法において仮想通貨はどう定義され、どんな規制を受けるのだろうか」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 資金決済法上の暗号資産の定義と1号・2号の区分
  • 暗号資産交換業者に課される登録制度と利用者保護の規制
  • 2026年施行予定の規制移管を含む改正動向

資金決済法において仮想通貨は暗号資産として定義され、交換業者の登録制度や利用者保護の規制のもとに置かれています。本記事を読めば、条文上の分類から最新の改正動向まで、資金決済法の枠組みの中で仮想通貨がどう扱われているかを整理して理解できます。事業者としての対応や投資判断に必要な法的な位置づけを、この機会にあわせて確認してください。

資金決済法とは何か

資金決済法における仮想通貨の位置づけを理解するには、まず法律全体の目的と対象範囲を押さえておく必要があります。日本における仮想通貨の規制や金融庁による各種の規制方針を理解する上で、資金決済法は決済に関わるさまざまなサービスを横断的に規律する重要な法律です。

前払式支払手段や資金移動業とあわせて、暗号資産(仮想通貨)もこの法律の規律対象に含まれます。

資金決済法が制定された目的

資金決済法は2010年4月に施行され、資金決済に関するサービスの適切な実施を確保し、利用者を保護することを目的としています。あわせて決済システムの安全性や効率性、利便性を高めることも目指しています。

情報通信技術の発達により、銀行を介さない多様な決済サービスが登場したことが、この法律が生まれた背景です。プリペイドカードやスマホ決済、資金移動サービスなど、銀行業とは異なる形態の決済手段が急速に広がりました。

従来の銀行法だけではこうしたサービスを十分に規律できなかったため、のちにJVCEAなどの自主規制団体とも連携しながら、資金決済法という独立した法律が整備されています。

資金決済法が規律する4つの対象事業

資金決済法の規律対象は、法制定当初から段階的に拡大してきました。現在は主に次の4つの事業が対象です。

対象事業主な内容代表例
前払式支払手段事前にチャージした資金を支払いに利用する仕組みプリペイドカード、交通系ICカード
資金移動業銀行以外が行う少額の為替取引スマホ決済アプリの送金機能
暗号資産交換業暗号資産の売買・交換を仲介する事業暗号資産取引所
電子決済手段等取引業法定通貨に価値が連動するステーブルコインの取引を仲介する事業電子決済手段の発行・仲介サービス

暗号資産交換業は2017年施行の改正で追加された比較的新しい規律対象です。暗号資産交換業者に関する登録制度(暗号資産交換業者とは何かを参照)が導入されて以降も、改正のたびに規律範囲が見直され、電子決済手段等取引業のような新しい類型が加わっています。

資金決済法と他の金融規制との役割分担

資金決済法は決済手段としての性質を持つ資産やサービスを規律する一方、投資性の強い金融商品は金融商品取引法が規律します。トークンが有価証券に該当する場合は金融商品取引法が適用され、金融庁の暗号資産ホワイトリストに登録されているような暗号資産に該当する場合は資金決済法が適用されるという住み分けです。

この役割分担は資産の名称ではなく、経済的な性質によって決まります。決済・交換の手段として流通する資産は資金決済法の対象になり、収益分配を伴う投資性の強い資産は金融商品取引法の対象になるという整理です。

なお資金決済法と金融商品取引法の詳しい条文比較は本記事の範囲を超えるため、ここでは資金決済法内部での仮想通貨の扱いに焦点を当てて解説します。

資金決済法における仮想通貨の定義

資金決済法の中で仮想通貨がどのように定義されているかを理解することは、事業設計や投資判断の出発点になります。条文上の要件と分類を具体的に見ていきます。

暗号資産に該当する3つの要件

資金決済法第2条第14項は、暗号資産を次の3つの性質を持つ財産的価値と定義しています。

  1. 代価の弁済のため不特定の者に対して使用でき、かつ不特定の者との間で購入・売却ができること
  2. 電子的方法により記録され、電子情報処理組織を用いて移転できること
  3. 本邦通貨や外国通貨、通貨建資産、電子決済手段などに該当しないこと

この3要件をすべて満たす財産的価値だけが、資金決済法上の暗号資産として扱われます。ビットコインやイーサリアムはこの要件を満たす代表例です。

1号暗号資産と2号暗号資産の違い

資金決済法は暗号資産をさらに2つの類型に区分しています。違いを整理すると次のとおりです。

区分内容代表例
1号暗号資産不特定の者への代価の弁済に使用でき、法定通貨と直接交換できるものビットコイン、イーサリアム
2号暗号資産1号暗号資産と相互に交換できる電子的価値で、法定通貨とは直接交換できないもの一部のアルトコイン

2号暗号資産は法定通貨と直接の交換関係を持たないものの、1号暗号資産を介して間接的に貨幣的価値を持つと評価されます。実務上取引される暗号資産の大半は1号暗号資産に分類されます。

NFTや電子マネーとの違い

NFTは基本的に1点ものとして発行され、不特定の者への代価の弁済手段として使われることがほとんどありません。そのため多くのNFTは資金決済法上の暗号資産には該当しないと整理されています。

ただし発行数が多く決済手段として機能しうる設計にしてしまうと、暗号資産に該当する可能性も出てきます。発行上限や取引単価を工夫し、決済手段としての利用を利用規約で禁止することが、NFTを暗号資産に該当させないための実務対応です。

電子マネーであるプリペイド型の前払式支払手段とも区別が必要です。前払式支払手段は発行者など特定の者への支払いにしか使えない一方、暗号資産は不特定の者との間で流通する点が大きな違いになります。

資金決済法が仮想通貨に課す規制

資金決済法は仮想通貨を暗号資産として定義するだけでなく、それを取り扱う事業者に具体的な義務を課しています。ここでは代表的な3つの規制を確認します。

暗号資産交換業者の登録制度

暗号資産の売買や交換を仲介する事業を行うには、資金決済法に基づき内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。登録先は金融庁および財務局で、2017年施行の改正資金決済法により導入された制度です。

登録の対象となるのは、暗号資産の売買や他の暗号資産との交換、これらの媒介・取次・代理、利用者の金銭や暗号資産の管理を業として行う事業者です。無登録のまま暗号資産交換業を営むことは禁止されており、財務局による警告の対象になります。

近年は暗号資産と電子決済手段の媒介のみを行う事業者向けに、仲介業という新しい登録類型も設けられています。

利用者保護のための分別管理と情報提供義務

暗号資産交換業者には、利用者から預かった金銭や暗号資産を自己の財産と分けて管理する分別管理義務があります。分別管理の状況は定期的に公認会計士や監査法人による監査を受けなければなりません。

さらに一定の要件を満たす暗号資産については、業者自身が同種・同量の暗号資産を保有する履行保証暗号資産の制度も設けられています。利用者に対しては、暗号資産の性質や取引条件について契約締結前に説明する情報提供義務もあわせて課されています。

広告・勧誘に関する規制

暗号資産交換業者が広告を行う場合、手数料や価格変動リスクなど内閣府令で定められた事項を表示する義務があります。虚偽の表示や利益を保証するような誤解を招く表現は禁止されています。

広告・勧誘のルールに違反した場合、行政処分の対象となる可能性があります。事業者はこうした表示義務と禁止行為を踏まえたうえで、利用者に誤解を与えない形での情報発信が求められます。

資金決済法における仮想通貨規制の改正動向

資金決済法における仮想通貨の位置づけは、施行以降も繰り返し見直されてきました。直近の改正動向を押さえておくことが、今後の事業判断に欠かせません。

2023年施行の改正とステーブルコインの新設

2023年6月に施行された改正資金決済法では、法定通貨に価値を連動させるステーブルコインが新たに「電子決済手段」として整理されました。発行者は銀行、資金移動業者、信託会社などに限定され、利用者保護のための枠組みが整備されています。

これにより資金決済法上の金融庁による暗号資産関連の資産は、値動きのある暗号資産と、価格が安定するよう設計された電子決済手段の2系統に分かれました。ビットコインのような裏付け資産を持たない暗号資産と異なり、電子決済手段は発行価格と同額での償還が想定されている点が特徴です。

2026年の規制移管に向けた改正の展望

2026年4月に国会へ提出された金融商品取引法及び資金決済法の改正法案では、暗号資産取引に関する規制を資金決済法から金融商品取引法へ移管する方針が示されています。移管後は暗号資産交換業者の名称が暗号資産取引業者に変わり、インサイダー取引規制を含む不公正取引規制の強化なども予定されています。

改正資金決済法自体は2025年6月に公布され、2026年6月から施行される見通しです。電子決済手段・暗号資産サービス仲介業の創設や、クロスボーダー収納代行への資金移動業規制の適用拡大など、仮想通貨・電子決済手段を取り巻く規律は段階的に強化されています。

事業者が備えるべき実務対応

暗号資産関連事業を行う事業者は、施行日からの経過措置期間を踏まえたスケジュール管理が必要です。既存事業者には一定の猶予期間や、登録申請中の継続営業を認める経過措置が設けられています。

利用者の本人確認や反社チェックの体制強化、契約書類の電子化など、実務対応にはITツールの活用も有効です。資金決済法から金融商品取引法への規制移管が進めば、開示義務や業規制の水準も変わるため、最新の改正情報を継続的に確認する体制を整えておくことが重要です。

まとめ:資金決済法における仮想通貨は暗号資産として登録制のもとで規制される

本記事では資金決済法における仮想通貨の位置づけを、定義・規制内容・改正動向の3つの観点から解説しました。資金決済法は仮想通貨を暗号資産として定義し、1号暗号資産と2号暗号資産に区分したうえで、交換業者に登録制度や利用者保護のための義務を課しています。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 資金決済法上の暗号資産は3つの要件を満たす財産的価値として定義される
  • 暗号資産交換業者は登録制のもとで分別管理や情報提供の義務を負う
  • 2026年施行予定の改正で規制の一部が金融商品取引法へ移管される見通し

本記事を読むことで、資金決済法という枠組みの中で仮想通貨がどう分類され、どのような規制を受けているのかを整理できたはずです。今後の改正で規制の重心が変わる可能性もあるため、事業設計や投資判断の前提として最新動向を継続的に確認することをおすすめします。

より詳しい実務対応や個別の相談をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。

資金決済法における仮想通貨に関するよくある質問

参考文献

  1. e-Gov法令検索「資金決済に関する法律」
  2. 金融庁「暗号資産に関連する事業を行うみなさまへ」
  3. 金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料」

執筆者

Crypto With 編集部
Crypto With 編集部

編集部

B2B特化のブロックチェーン・暗号資産メディア「Crypto With」の編集部。金融機関やIT企業の意思決定者向けに、国内外の最新技術トレンドや日本の法規制動向など、導入判断に直結する客観的なデータに基づく信頼性の高い実務情報を発信しています。

監修者

Crypto With リサーチチーム
Crypto With リサーチチーム

リサーチチーム

「Crypto With」のコンテンツ監修・リサーチを専門に行う調査チーム。国内外の金融規制や暗号資産市場の動向を追う専門家で構成され、データと根拠に基づく客観的な分析レポート、日本の複雑な法規制の解説を提供。金融機関・IT企業の意思決定に必要な情報を信頼性重視で発信します。

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