KYC書類とは?必要書類の種類と提出方法をわかりやすく解説
この記事のポイント
KYC書類は犯罪収益移転防止法に基づき本人確認のために求められる書類です。個人は運転免許証やマイナンバーカード、法人は登記事項証明書や印鑑登録証明書などを提出し、対面・郵送・オンラインで確認手続きを行います。
「口座開設の申込でKYC書類の提出を求められたけれど、個人と法人でどの書類を用意すればいいのか、不備なく通す方法もわからない」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
本記事の内容
- KYC書類が求められる理由と法的根拠
- 個人・法人それぞれに必要なKYC書類の種類
- 対面・郵送・オンラインの提出方法と流れ
KYC書類は、犯罪収益移転防止法に基づき事業者が本人確認のために求める書類です。
種類と提出方法を正しく理解すれば、不備による差し戻しを避け、スムーズに口座開設や取引を始められます。暗号資産交換業をはじめ規制業種の担当者に向けて、必要な書類と手続きの流れを整理します。
KYC書類とは何かと求められる理由
KYC書類とは、サービス利用者が本人であることを事業者に証明するために提出する書類の総称です。そもそもKYCとは、顧客の身元を確認するための手続き全般を指します。運転免許証やマイナンバーカード、法人の登記事項証明書などが代表例です。
犯罪収益移転防止法という法律を根拠に、金融機関や暗号資産交換業者を含む多くの事業者がKYC書類の確認を義務づけられています。
KYC書類の意味と本人確認の位置づけ
KYCはKnow Your Customerの略で、顧客を正しく知るという意味を持ちます。KYC書類は、氏名・住所・生年月日といった本人特定事項を裏づける証拠です。
本人確認には二段階があります。書類そのものが本人のものかを確かめる身元確認と、手続きをしている人物が書類の持ち主と一致するかを確かめる当人認証です。KYC書類は主に身元確認の根拠として機能します。
KYC書類が必要になる犯収法の根拠
KYC書類の提出義務は、犯罪収益移転防止法という法律に基づきます。これは金融取引でのKYCを義務付けるもので、マネーロンダリングやテロ資金供与にサービスが利用されることを防ぐ目的で制定されています。
法律で定められた特定事業者は、口座開設などの特定取引を行う際、取引時確認として本人特定事項を確認する必要があります。犯収法は数年おきに施行規則の改正が行われ、2025年6月と2027年4月にも本人確認の方法をめぐる変更が予定されています。
暗号資産交換業でKYC書類が重視される理由
暗号資産交換業者は、犯収法における特定事業者です。銀行や証券会社と同じく、口座開設時のKYC書類確認と取引記録の保存が法律上の義務になります。
暗号資産の取引は匿名性が高いという特性を持ち、かつては仮想通貨を本人確認なしで取引できるプラットフォームが資金洗浄に悪用されるリスクも指摘されてきました。そのため、KYC書類による厳格な本人確認は、こうしたリスクを抑え利用者と市場の信頼を守るために欠かせません。
個人が用意するKYC書類の種類
個人がKYC書類を用意する場合、公的機関が発行した顔写真付き書類が最も扱いやすい選択肢です。顔写真がない書類しか手元にない場合は、複数の書類を組み合わせて提出します。
住所や氏名が変わったときは、記載内容と現況が一致するかも確認が必要です。
顔写真付きKYC書類の種類
顔写真付きKYC書類の代表例は、マイナンバーカード、運転免許証、パスポートです。在留カードや特別永住者証明書、身体障害者手帳なども対象になります。
これらは1点の提示だけで本人確認が完了する場合がほとんどです。顔写真と氏名・住所・生年月日が同時に確認できるため、事業者側の審査も短時間で済みます。
顔写真なしKYC書類と補助書類の組み合わせ
顔写真なしのKYC書類には、健康保険証や年金手帳、母子健康手帳などがあります。ただし紙の健康保険証は制度移行の影響で、本人確認書類として扱わない事業者が増えている点に注意が必要です。
顔写真なし書類だけでは本人確認が不十分になりやすく、多くの場合は2点以上の組み合わせや、公共料金領収書などの補助書類を追加提出します。事業者ごとに必要な組み合わせが異なるため、提出前に条件を確認しておくと安心です。
住所や氏名が変わった場合に使うKYC書類
引っ越しや結婚で住所や氏名が変わった直後は、本人確認書類の記載が現況と一致しないことがあります。この場合は、発行から3か月以内程度の公共料金領収書や住民票の写しなど、現住所を証明する補助書類をあわせて提出します。
補助書類は氏名・住所が本文と分離せず印字されている必要があります。切り取りや手書きの追記がある書類は受け付けられないため、原本のまま提出することが大切です。
法人が用意するKYC書類の種類
法人がKYC書類を用意する場合、法人自体の実在を証明する書類と、代表者や実質的支配者の本人確認書類の両方が必要です。個人の手続きより確認項目が多く、準備に時間がかかりやすい点が特徴です。
書類はいずれも発行から一定期間内のものを求められます。
登記事項証明書と印鑑登録証明書
法人確認の中心となるのが、登記事項証明書と印鑑登録証明書です。登記事項証明書は法人名や本店所在地、代表者氏名を証明し、印鑑登録証明書は登録された実印を確認する書類になります。
多くの事業者は発行から3か月以内の書類を求めますが、提出先によっては6か月以内でも受け付ける場合があります。期限は提出先ごとに異なるため、申込前に条件を確認しておくと手戻りを防げます。
住所を証明する補助書類
登記事項証明書だけでは現在の事業所住所を確認できないケースがあります。その場合は、納税証明書や社会保険料の領収書、公共料金の領収書といった補助書類をあわせて提出します。
補助書類は、本店または主たる事務所の所在地が明記され、発行から一定期間内であることが条件です。官公庁が発行した書類であれば、より確実な証拠として扱われます。
代表者や担当者の本人確認書類
法人のKYC書類には、手続きを行う代表者や担当者個人の本人確認書類も含まれます。運転免許証やマイナンバーカードなど、個人向けと同じ書類を提示します。
議決権の25パーセントを超えて保有するなど、法人の事業活動に大きな影響力を持つ実質的支配者についても、氏名や住所の申告が必要です。リスクの高い取引では、株主名簿など裏づけとなる書類の提出を求められることもあります。
KYC書類の提出方法と流れ
KYC書類の提出方法には、対面、郵送、オンラインの3種類があります。事業者によって対応方法が異なるため、申込前にどの方式が使えるかを確認しておくと手続きがスムーズです。
| 方法 | 所要時間の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 対面 | 即日 | 窓口でその場で確認できるが来店が必要 |
| 郵送 | 3日から7日程度 | インターネット環境がなくても対応できる |
| オンライン | 数分から数時間 | スマートフォンで完結し最も早い |
対面でKYC書類を提出する方法
対面での提出は、窓口担当者がその場でKYC書類の原本を確認する方法です。書類に不備があってもすぐに指摘を受けられ、修正しながら手続きを進められます。
一方で、窓口の営業時間内に来店する必要があり、担当者の対応人数にも限りがあります。混雑時は待ち時間が発生しやすい点に注意が必要です。
郵送でKYC書類を提出する方法
郵送での提出は、KYC書類のコピーを申込書とあわせて事業者に送る方法です。インターネット環境やスマートフォンを持たない利用者でも対応できる点が強みになります。
ただし、書類が届いてから確認が完了するまで3日から7日程度かかることが一般的です。導入コストを抑えたい事業者にも選ばれやすい方式です。
オンラインでKYC書類を提出する方法
オンラインでの提出はオンライン本人確認のeKYCと呼ばれ、スマートフォンでKYC書類と顔写真を撮影し送信する方法です。代表的なホ方式は書類と容貌の画像を組み合わせ、ヘ方式はICチップの読み取りと容貌画像を組み合わせて確認します。
申込から数分から数時間で本人確認が完了し、来店や郵送を待つ必要がありません。ただし、ホ方式は2027年4月に廃止が予定されており、今後はICチップを使う方式への移行が求められます。
まとめ:KYC書類は種類と提出方法を理解すれば迷わず準備できる
KYC書類は、犯罪収益移転防止法に基づいて事業者が本人確認のために求める書類です。本記事では、KYC書類が求められる理由から、個人・法人それぞれの必要書類、対面・郵送・オンラインの提出方法までを整理しました。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- KYC書類は犯収法に基づく本人確認の証拠
- 個人と法人で用意する書類の種類が異なる
- 提出方法は対面・郵送・オンラインの3種類
これらを理解すれば、不備による差し戻しを避け、口座開設や取引をスムーズに始められます。特に暗号資産交換業のような規制業種では、正確な書類準備が信頼の維持につながります。
KYC書類の準備や提出でお悩みの方は、専門家への相談が近道です。詳しい情報や個別のご相談は、以下からお気軽にお問い合わせください。
KYC書類に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
B2B特化のブロックチェーン・暗号資産メディア「Crypto With」の編集部。金融機関やIT企業の意思決定者向けに、国内外の最新技術トレンドや日本の法規制動向など、導入判断に直結する客観的なデータに基づく信頼性の高い実務情報を発信しています。
監修者
リサーチチーム
「Crypto With」のコンテンツ監修・リサーチを専門に行う調査チーム。国内外の金融規制や暗号資産市場の動向を追う専門家で構成され、データと根拠に基づく客観的な分析レポート、日本の複雑な法規制の解説を提供。金融機関・IT企業の意思決定に必要な情報を信頼性重視で発信します。
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