仮想通貨の雑所得とは?総合課税と累進課税をわかりやすく解説

税務・会計

この記事のポイント

仮想通貨の利益は雑所得に区分され、給与などと合算する総合課税で最大55パーセントの累進課税がかかります。事業所得や譲渡所得と違い損益通算や特別控除の優遇がなく、雑所得同士でのみ損失を相殺できます。給与所得者は年間20万円超の利益で確定申告が必要です。

仮想通貨の雑所得とは?総合課税と累進課税をわかりやすく解説

「仮想通貨の利益は雑所得になると聞いたけれど、雑所得がそもそも何を指すのか、他の所得とどう違うのか分からない。総合課税や累進課税という言葉も出てきて、自分の税負担がどう決まるのか把握できていない」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 仮想通貨の利益が雑所得に区分される理由
  • 雑所得と他の所得区分との違い
  • 雑所得内での損益通算と経費計上のルール

仮想通貨の雑所得は、給与所得や事業所得など他の所得と合算して総合課税される所得区分で、累進課税により税率が段階的に上がる仕組みです。

本記事を読み進めることで、雑所得という区分そのものの意味から、他の所得との違い、確定申告が必要になる基準まで理解でき、自分の状況に合った申告の判断ができるようになります。

仮想通貨の利益が雑所得に区分される理由

仮想通貨で得た利益は、所得税法上の区分でいうと雑所得に当てはまり、仮想通貨税金の全体像を理解するうえでまず押さえておきたい区分です。まず雑所得という区分そのものの意味と、仮想通貨がなぜこの区分に入るのかを押さえておきましょう。

雑所得とは所得税法上どの位置づけか

所得税法は所得を利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得の9種類に分けています。雑所得は、このどれにも当てはまらない所得をまとめて受け皿にする区分です。

公的年金や副業の原稿料、シェアリングエコノミーの収入などが雑所得の代表例です。仮想通貨の利益も、通貨や有価証券として明確な所得区分が定められていないため、この雑所得に含まれます。

雑所得はさらに「公的年金等」「業務」「その他」の3つに分かれます。個人が趣味的に行う仮想通貨取引の利益は、仮想通貨持ってるだけ税金がかかるわけではなく売却や交換などで実現した時点で、原則としてこのうち「その他」の雑所得に区分されます。

仮想通貨が雑所得に分類される根拠

国税庁のタックスアンサーでは、暗号資産を売却または使用することで得た利益は、原則として雑所得に区分すると明記されています。この取り扱いは、事業として組織的に行われている場合を除いた、個人の投資的な取引を前提としたものです。

仮想通貨は法律上、日本円やドルのような法定通貨ではなく、資金決済法における財産的価値として位置づけられています。株式のように金融商品取引法で優遇された税制が用意されているわけでもないため、既存の所得区分に当てはまらず、売買益だけでなくステーキング税金が課される報酬受け取りも同様に雑所得として扱われる形になっています。

年間収入300万円超で事業所得になるケース

仮想通貨取引を事業のように継続して行っている場合は、雑所得ではなく事業所得に区分されることがあります。目安となるのが、年間の暗号資産取引に係る収入金額300万円という基準です。

収入が300万円を超え、取引の帳簿書類を保存している場合は、原則として事業所得として扱われます。帳簿書類の保存がない場合は、収入が300万円を超えていても業務にかかる雑所得として扱われるのが原則です。

区分主な条件
雑所得(その他)個人が趣味的・投資的に行う取引
雑所得(業務)収入300万円超だが帳簿書類の保存がない場合
事業所得収入300万円超かつ帳簿書類を保存している場合

いずれの区分になっても社会通念上事業と認められるかという実質的な判断が伴うため、該当する可能性がある人は税理士に相談しながら区分を確認することがおすすめです。

雑所得と他の所得区分との違い

所得税法は所得を9種類に分けており、仮想通貨の利益が区分される雑所得は、他の所得と比べて控除や優遇の少ない区分です。給与所得、事業所得、譲渡所得や一時所得との違いを具体的に見ていきましょう。

給与所得との違い

給与所得は、会社から受け取る給料やボーナスから給与所得控除を差し引いて計算します。会社員であれば源泉徴収され、年末調整で税額が確定するのが一般的です。

一方、仮想通貨の雑所得には給与所得控除のような一律の控除はなく、収入から必要経費を差し引いた金額がそのまま所得になります。給与所得と雑所得はどちらも総合課税の対象なので、確定申告の際には合算して税額を計算します。

事業所得との違い

事業所得は、卸売業や小売業、サービス業など、事業として継続的に行う活動から生じる所得です。仮想通貨取引でも、収入300万円超で帳簿書類を保存している場合は事業所得として扱われます。

事業所得に区分されると、青色申告特別控除や損益通算、損失の3年間の繰越控除といった特典を受けられます。雑所得にはこうした特典がなく、税制上の扱いは事業所得より不利になる点が大きな違いです。

譲渡所得や一時所得との違い

譲渡所得は、株式や不動産といった資産を譲渡したときに生じる所得です。上場株式の譲渡所得は申告分離課税が適用され、税率は一律20.315パーセントになります。

一時所得は、生命保険の満期返戻金や懸賞の当選金など、営利を目的としない一時的な収入が対象です。最高50万円の特別控除があり、残りの金額の2分の1だけが課税対象になる優遇があります。仮想通貨の雑所得にはこうした特別控除や2分の1課税の仕組みがなく、利益がそのまま課税対象になる点で負担が重くなります。

所得区分課税方式主な優遇
給与所得総合課税給与所得控除
事業所得総合課税青色申告控除、損益通算、繰越控除
譲渡所得(上場株式)申告分離課税一律20.315パーセント
一時所得総合課税特別控除50万円、2分の1課税
雑所得(仮想通貨)総合課税なし

こうして比べると、仮想通貨の雑所得は控除や優遇が少なく、利益がそのまま高い税率にさらされやすい区分であることが分かります。

雑所得にかかる総合課税と累進課税の仕組み

仮想通貨の雑所得は、総合課税という方式で税額が決まり、売却して仮想通貨現金化税金が生じた際にもこの総合課税が適用されます。総合課税がどのような計算の流れになっているのか、累進課税とあわせて仕組みを整理します。

総合課税で税額を計算する流れ

総合課税では、まず給与所得や事業所得、雑所得など対象となる所得をすべて合算し、総所得金額を求めます。次に基礎控除や社会保険料控除、配偶者控除などの所得控除を差し引き、課税所得金額を算出します。

最後にこの課税所得金額に税率をかけ、控除額を引くことで所得税額が確定するため、具体的な仮想通貨税金計算の手順を押さえておくと実際の納税額を把握しやすくなります。仮想通貨の利益が増えるほど課税所得金額が膨らみ、適用される税率区分も上がりやすくなる仕組みです。

累進課税で税率が段階的に上がる仕組み

所得税は課税所得金額に応じて5パーセントから45パーセントまでの7段階に分かれる累進課税です。段階ごとに控除額が定められており、税率をかけたあとに控除額を差し引くことで税額を求められます。

例えば課税所得が200万円の場合、税率10パーセントから控除額9万7500円を引いた10万2500円が所得税額です。仮想通貨の利益が積み上がって課税所得が増えるほど、より高い税率区分が適用され、税負担の伸び方も大きくなります。

分離課税との違い

株式の譲渡やFXの利益は申告分離課税の対象で、他の所得と合算せず一律約20パーセントの税率で計算します。所得が大きくなっても税率が変わらないため、高所得の人ほど総合課税より有利になりやすい方式です。

仮想通貨の雑所得は総合課税のため、給与などが多い人ほど雑所得にかかる実質的な税率も高くなりますが、仮想通貨分離課税いつから適用されるかによってこの負担は将来変わる見込みです。所得税に住民税10パーセントと復興特別所得税を加えると、最も高い区分では合計の負担率がさらに上乗せされる点も押さえておきましょう。

課税方式税率の決まり方代表的な所得
総合課税他の所得と合算し累進課税を適用仮想通貨の雑所得、給与所得
申告分離課税他の所得と分けて一律課税上場株式の譲渡益、FXの利益

雑所得内での損益通算と経費計上のルール

雑所得には独自の損益通算のルールがあり、他の所得区分とは扱いが異なります。仮想通貨の利益と損失をどこまで相殺できるのか、経費の範囲とあわせて確認しましょう。

雑所得同士は内部で相殺できる

仮想通貨で損失が出ても、同じ年に別の雑所得で利益があれば、その範囲で相殺できるという仮想通貨損益通算の仕組みがあります。これは雑所得内部での通算にあたり、内部通算と呼ばれる仕組みです。

例えばビットコインで50万円の損失、イーサリアムで80万円の利益が出た場合、雑所得の所得金額は差し引き30万円になります。仮想通貨同士だけでなく、公的年金以外の雑所得全般との間でも同様に相殺が可能です。

他の所得区分とは損益通算できない

雑所得の損失は、給与所得や事業所得、不動産所得といった他の所得区分と相殺することはできません。年間で仮想通貨の損失が出ても、給与から天引きされた税金が還付されるわけではない点に注意が必要です。

損失を翌年以降に持ち越す繰越控除も、雑所得には認められていません。株式投資のように損失を3年間繰り越して将来の利益と相殺する仕組みは使えず、損失が出た年で完結してしまいます。

相殺の組み合わせ可否
仮想通貨同士の損益相殺できる
仮想通貨と他の雑所得相殺できる
仮想通貨と給与所得相殺できない
損失の翌年への繰り越し認められない

必要経費として認められる範囲

雑所得は、総収入金額から必要経費を差し引いて所得金額を計算するため、経費計上は仮想通貨節税の基本的な方法のひとつです。仮想通貨取引に直接関連する支出であれば、経費として計上できます。

認められる経費の例は次のとおりです。

  • 取引所に支払う売買手数料や送金手数料
  • 損益計算に使うツールやソフトの利用料
  • 取引に関する書籍やセミナーの受講料
  • 取引専用に使うパソコンや通信費の一部

私的な利用と兼用している支出は、仮想通貨取引に使った時間や割合に応じて按分する必要があります。経費として計上するためには、領収書や取引履歴といった客観的な証拠を保管しておくことが欠かせません。

仮想通貨の雑所得で確定申告が必要になるケース

仮想通貨の雑所得が申告対象になるかどうかは、立場や所得の状況によって基準が変わり、実際の仮想通貨確定申告やり方を把握しておくとスムーズです。自分がどのケースに当てはまるのかを確認しておきましょう。

給与所得者は20万円超が申告の基準

会社員など1か所から給与を受け取り、年末調整を受けている人は、仮想通貨を含む給与以外の所得の合計が年間20万円を超えると確定申告が必要という仮想通貨税金いくらからの基準があります。この20万円はあくまで所得税に関する基準になります。

住民税には20万円という基準がありません。所得税の申告が不要な金額であっても、利益が出ていれば仮想通貨住民税申告やり方を踏まえて別途申告が必要になる点に注意しましょう。

扶養に入る人や個人事業主の基準

給与を受け取っていない専業主婦や学生は、仮想通貨を含む所得の合計が48万円を超えると確定申告が必要です。48万円は所得税の基礎控除額にあたる金額です。

個人事業主やフリーランスは、もともと所得全体を申告する立場のため、仮想通貨の利益が20万円以下でも申告書に金額を記載する必要があります。給与所得者向けの20万円ルールは適用されない点を押さえておきましょう。

立場申告が必要になる目安
給与所得者(年末調整あり)給与以外の所得が年間20万円超
被扶養者・所得のない人所得の合計が年間48万円超
個人事業主・フリーランス金額にかかわらず所得を申告

雑所得を申告しなかった場合のリスク

仮想通貨の取引はブロックチェーン上に記録が残り、国内の取引所は税務署へ支払調書を提出する義務を負っています。申告を怠っても発覚しやすい取引形態といえます。

期限内に申告しなかった場合は無申告加算税が課され、納付すべき税額のうち50万円までは15パーセント、超える部分は20パーセントが加算されます。これに加えて延滞税が最大年14.6パーセントの割合で上乗せされ、悪質と判断されると重加算税として最大50パーセントが課されることもあります。仮想通貨の雑所得は正しく計算し、期限内に申告することが結果的に負担を抑える近道です。

まとめ:仮想通貨の雑所得は総合課税で他の所得と合算される

仮想通貨の雑所得は、給与所得や事業所得など他の9種類の所得のどれにも当てはまらない受け皿の所得区分であり、給与などと合算されて総合課税の対象になります。事業所得や譲渡所得、一時所得と比べると控除や優遇が少なく、雑所得同士でしか損益を相殺できない点も特徴です。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 仮想通貨の利益は雑所得として総合課税され累進課税が適用される
  • 給与所得や事業所得と違い控除や損益通算の優遇が少ない
  • 給与所得者は年間20万円超、被扶養者は48万円超で申告が必要

雑所得の仕組みと他の所得区分との違いを理解できたことで、自分の仮想通貨の利益がどう課税されるのかを正しく判断できるようになります。曖昧な理解のまま申告を先延ばしにせず、正確な知識をもとに手続きを進められます。

仮想通貨の税務処理や事業としての取り組みについて相談したい場合は、お気軽にお問い合わせください。

仮想通貨の雑所得に関するよくある質問

参考文献

  1. No.1500 雑所得|国税庁
  2. No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係|国税庁
  3. No.2260 所得税の税率|国税庁
  4. 暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について|国税庁

執筆者

Crypto With 編集部
Crypto With 編集部

編集部

B2B特化のブロックチェーン・暗号資産メディア「Crypto With」の編集部。金融機関やIT企業の意思決定者向けに、国内外の最新技術トレンドや日本の法規制動向など、導入判断に直結する客観的なデータに基づく信頼性の高い実務情報を発信しています。

監修者

Crypto With リサーチチーム
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リサーチチーム

「Crypto With」のコンテンツ監修・リサーチを専門に行う調査チーム。国内外の金融規制や暗号資産市場の動向を追う専門家で構成され、データと根拠に基づく客観的な分析レポート、日本の複雑な法規制の解説を提供。金融機関・IT企業の意思決定に必要な情報を信頼性重視で発信します。

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